【小さなヒント006】子どもの環境の変化、その時親が出来ることは?

今回の質問は「子どもは環境の変化にどう適応していくのか?その時親ができることは?」です。新しいクラスに変わるとか、引越し等で転園するとか、いろんな変化がありますよね。今の状態がずっと続いてくれたら安心なのに…と思う人は多いでしょう。でも残念ながら私たちの生活は変化するものだらけ。変わらずにずっと続くことなんてあるんだろうか?と思うくらいです。

さて、子どもの環境の変化というと、保育園では入園や進級の時期が大きな変化にあたります。この時期を何度も経験している私たちは、問題なく変化に対応していく子どもたちの姿をたくさん見てきているので特に心配していません。もちろん早く対応できる子がいたり時間がかかる子がいたりと様々ですが。

変化に対応するポイントは他の子どもの存在です。その場に慣れている子どもの様子をよーく観察し、そこがどういう場なのかとか、次は何をすればいいのかとか、そんなことをちゃんと学んでいます。早く慣れてほしいと焦ったりせず、この「観察」の時期をちゃんと保障してあげると、次第に真似をして行動し始める姿が見られるようになります。また、慣れている子は新しい子に対して「ここはこうするところなんだよ」と教えてあげたがるものなので、私たちの保育園では保育者が働きかけるよりも「あの子にいろいろ教えてあげてね」と子どもにお願いすることの方が多いです。

そして親ができることですが、私たちの保育園で保護者に伝えていることを紹介します。赤ちゃんは特にですが、子どもは経験が少ないため、新しい環境や見ず知らずの人と出会ったとき、それが自分にとって安心できるものかどうかを判断する材料をほとんど持っていません。そんな時子どもは親の顔を見たりします。これは「自分が信頼している人の表情から判断する」ためです。これを「社会的参照」といいます。その時親が安心した表情をしていれば、「その場やその人は安心できる」と判断するわけです。飛行機に乗っていて大きく揺れたとき、私たちはキャビンアテンダントの顔を見ますよね。自分は飛行機のことはよく分からないけど、信頼して任せているキャビンアテンダントが慌てた顔をしていなければ「大丈夫なんだ」と安心します。これと同じです。ですから、まずは親が新しい環境や人に慣れること、そして信頼することが大事です。そして子どもが親の顔を見てきたときに「私は安心しているよ」という表情を見せてあげてください。それだけで子どもは変化に対応する力を得ます。親の安心は子どもの安心にちゃんとつながっているんです。子どもと親の関係は大事ですね。